曇天
掛川かるやと愉快な外人たち

乾いても艶のある 路面のまどろみ
その古い染みが 曖昧な午後の一部を
停留させている


触れる路面の端
時折覗いていた窓硝子割り砕き
尾長はばたばたと喘ぐ


徒然と ここに
見上げては立ち尽くす ここに
こぼれ続ける 羽音の 輝きを鈍らせる
原因が あるとして 
口実が まだ あるとして


諦観の午後
握る手は 行くほどに水をふくむ
ああ 振り向くのかと
目を凝らし あえいで
漠然とした 今日と明日の境色 
無理やりに飛び出ようと
かがんで触れる 羽先


結ぶ 時 流れ 滲んで 
羽ばたく 音 彩り 
そっと今 中空に浮かべ
呆然と 伸のばし 手 刺しこんで
昼と夜の隙間に 
また 感じて みる 
刻まれる 時のしるし 
定められた 道のすじ


明暗
吐く息の 色合いが持続する 
歩みを 速める 風のざらついた感触
血の熱が流れ込む 痣にまみれた
手足が 空の灰 焦がし 
雲の裏に 空の奥に


空はぎらぎらと輝き
重たい反射を 太陽にかえす
光と光の合間から
彩の流動 擦り切れた手足を
素早く 瞬く間に 
離反する この胸から
熱 息吹いている 
荒んだ 呼吸 


とまらず とまれずに
煌々と照る彼方
轟轟とめぐる風の 乾いた唇に触れる
それはまた 日々の動きの一つ
触れられぬ熱をみる 明日


曇りというあいまいの中にほどける
光に満ちる 澱
眼に些細な痛み
無数に繁殖してゆく 仄かな輝き


そして
まだ見えぬいくつもの交点を
ひとつひとつ手繰っていく
世界はいま 灰色を目指し
すべての色はその息を熱くして
交点 あまねく色合の境界を融かして 
溢れかえる 沸きたつ 色彩の諧調
やがて現れる 二色 そのさらに混沌へ向けて
揺れる 揺れる 空に定めた コントラスト


あきらかな目覚めを必要とする時の
かすかな羽音
倒れる前のわずかな時間
喉に通う息の
すずしさ


深い亀裂に並行する日々を目指して
そろそろと進んでゆく
辛うじて崩れない地面
落ちる日は陽を暗くし
曇天をしっとりと濡らして
揺れては消える 影


あてもない 午後
光と影を錬る 太陽の彩
それは濡れて輝き 
音もなく 上から落ちてくる


自由詩 曇天 Copyright 掛川かるやと愉快な外人たち 2004-09-02 00:08:36
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