モモなひと
恋月 ぴの

苦手ってわけじゃないんだけど
それでもやっぱし
う〜ん
苦手ってことなのかな


毎年この時期に行われるんだよね
以前は建物の裏口に横付けされた検診車のなかで行われていたんだけど
このところ健康診断センターで受けることが多くなった

ぽっけに入れたロッカーの鍵、落としたりしないかな

湯上りでも無いのにこんなもの着せられてさ
どう考えても私には似合わない
それに心細くてハンカチをしっかり握りしめていたら
隣りの課の後輩に鼻で笑われてしまった

内科検診、男の先生だとしても気になるような歳じゃないけれど
ちくって刺されるあれは苦手だな

去年の秋、自転車に乗っていて交通事故に遭ってしまった時も
不幸中の幸いってことなのか安静に寝ているだけで済んだ
仮に手術必要なら輸血とかしてもらっていたはずなんだけどねぇ

それなのに採血されるのさえ嫌ってのはあまりにも身勝手過ぎるけど
ダメなものはダメ
快く献血できるひとってマジ偉いなあと思ってしまう

カルテを☆印の箱へ入れたら名前呼ばれるまで待っていてください

看護士さんに指図されるまま
広い院内をあっちへ行ったりこっちへ行ったり
そろそろ採血されるのかな

びっしょりと汗かいたハンカチを畳み直していたりすると
かわいそうな自分が恋しくて

なぜか中学生のとき
体育着のなかでもぞもぞと着替えたことを思い出した
あれってかなり無理な姿勢だったよね
今だったら背中の筋とか痛めてしまいそうで

気晴らしにテレビの画面眺めながら脚をぷらぷらさせてたら
えいやっと気合入れたわけでも無いのにスリッパ飛んで

明日も雨だと余計なお世話


自由詩 モモなひと Copyright 恋月 ぴの 2009-06-08 22:53:36
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