shizumu machine
竜門勇気
大丈夫なのは センサーだけ
砂の丘でおいらはまちぼうけさ
ドックにいた 兎眼のじじいの頭は
ずっと前からいかれてた
幾つの海を越えて
ここまできたっけ
舞い上がる粒が消えねえで
街の光を散らしている
おいらはおいらで 役目があるのに
足が埋もれて 力も出ないで
頭ん中でごちゃごちゃが叫んでる
じじいはいつか
こんな暮らしを抜け出して
本物の海に行くんだって いつも言ってたよ
まる一日 糸を垂らして
日が暮れたら 缶詰のビールを飲んで
そうやって暮らすって言ってたよ
おいらがコールタールにまみれて帰って
これっぽっちも収穫が無かった日や
あちこち砂鉄にやられてガリガリいいながら
なんとかドックまでたどり着いた日も
あの海の話をじじいは言ってたな
懐かしそうにしゃべくってたな
おいらは黙りこくって 奴の目を見てた
そうしていれば
じじいはいつまでもおいらに話し続けてくれた
真っ赤なおいらの目は 少しだけじじいに 似てる
不意に風が起きて
砂粒は背中から遠くへ吹き飛んでいって
またおいらの目は赤い光を取り戻す
どうしようもないスタックが続く
少しだけ力が湧いて出た
街の明かりの明滅を黙って見ているんだ
天体の真下で夢を見ていた
届かない青い星が流星のように空を行きかう
それを太陽が追う
さっき思い出したことが いまは 遠くて
めったに風の吹かないここで
おいらの体は腰まで砂の中
街は光ることが少なくなった
瞬きごとにずいぶん時が進んでる
最近じじいの昔話ばかり気にしてる
ああ どうしてこんなところに産まれたんだっけ?
気がつけばおいらは
街の入り口までたどり着いてた
ちいさな隕石がそれほど遠くない場所に落ちて
ソーラーパネルに降り積もった砂塵を洗ってくれたらしい
衝撃波のせいで光学センサーが不調だ
ほとんど見えない
このあたりの地図を覚えていて良かった
ビーコンがドックの場所を示している
精度がおもわしくないな
太陽の位置も酷くずれている それにやけに光と熱が強い
ビーコンがドックに着いたことを示している
おいらの足元にアルミとタングステンのコーヒーカップが転がっている
こびり付いた有機物は なんだろう
もう分析はしたくなかった
月に夜がおとずれる
おいらは最後の星を見た
光電を焼ききる夕暮れと
それを追う褐色の星を
じじいはあの星に糸を垂れただろうか
おいらのみているyuu-gureに
canヅめのbeerをnonnd_aだろ臼NGか
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