ペネタの雲 
服部 剛

旅人はくさむらに埋れて 
横たわり  
いちめんの空に 
浮雲の群を見ていた 

それぞれに流離さすらう雲は 
違った形の膨らみで 
西から東へ流れゆく 

自らの姿を変えながら 
ひとつの雲は 
平たいペネタの雲となり 

裏側に隠れた太陽が 
四角い雲の黒影を 
光の糸で、縁取った 

( 神秘な雲の塊が
  私の真上に浮いている ) 

あぁ・・・随分と 
幸いを探し歩いて来たが 
人のこころの歓びは 
どうやらあそこにあるようだ・・・ 

少し痩せた旅人の頬から 
叢の隙間へ 
太陽の滴がひとつ 
光って、落ちた 








自由詩 ペネタの雲  Copyright 服部 剛 2009-06-05 22:18:52
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