夕焼け
乱太郎


美しい赤紫色の旋律弾けて
夕日が沈んでいく
幕が下り
紅潮した顔も
明日になれば澄んだ瞳で朝を迎えるのだろう


   *


終わりなき道程も
休息を交えながら進むように
行き場のない悲しみも
どこかで忘れてしまうように
今日が赤く閉じられる


   *


夕暮れ時
ちっちゃな男の子の背が伸びた
大人になったら
こんなに大きくなるんだよ
赤い丸顔のおひさまが教えてくれた


   *



橙色の衣を纏い
舞台から下がろうとする夕日
今日は喜劇
昨日は悲劇と
演じる題目は日ごと変わるが
終演はいつまでもなく続く


   *


海が燃えている
山が燃えている
空が燃えている
黒い影が横断する
あなたのなかの灯り火を決して消すな
そう言っているような


   *


青い生地に染められる濃い血
今日は生理だという
陰部に似た夕日は崩れ落ち
やがて黒い背広着た男に抱かれて
叫びの届かない深い森に潜む


自由詩 夕焼け Copyright 乱太郎 2009-06-03 12:43:26
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