瓶詰地獄(初)
佐藤真夏

パン屋のお嬢さんが
背中をさする手つきで
生地をのばすものだから
もう 薬は要りません

開けては 閉める
逃げ道を塞ぐ
冷えて固まったガラス
透き通る壁の中

発酵したい、ね
ふたり
瓶詰めになって
オレンジの腐ったようなのと
一緒になって 
あまーく あまあく 煮詰まって
咳止めよりも やさしく
こわされてゆくからだ



自由詩 瓶詰地獄(初) Copyright 佐藤真夏 2009-06-02 18:14:57
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