二月
非在の虹

顕微鏡の中で人工のひかりをうけて
雪片が光る
結晶が無言でのびてゆくのを
ぼくは視ていた

浅くつもった雪の中を
きみを迎えにゆく
ローカル線の駅は雪につつまれ
こどもの夢のように光っていた
かけよったぼくの前で
きみは微笑んだ
指さきがきみにふれる
でも
凍っているのだ ぼくの
手も足も
きみの名前もことばも白く凍ってしまった
つないでいる手の上にふる雪は
結晶を示すと消えてゆく
しかし きみとぼくは
人工のひかりの中で
無言のまま光る血脈になっている


自由詩 二月 Copyright 非在の虹 2009-06-01 18:28:29
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歳時記