飛行機
小川 葉

 
 
ついに人だけになって
飛んでいる
はたしてそれを
飛行機と呼べるだろうか

翼も動力も
無線さえ持たずに
たどり着く先を失って
空飛ぶそれを
人と呼べるだろうか

私の中の操縦席に
たった一人座ってる
私を操るその人は
はたして私なのだろうか

ふと気配がして
空を見上げる
飛行機が飛んでる
自分の意思で乗った
人たちを乗せて

どこかから
どこかではない
どこかへ飛んでいく
旅の途中をぼんやり見てる
ここで私が

ついに人だけになって
立っている
はたしてそれを
私と呼べるだろうか
 
 


自由詩 飛行機 Copyright 小川 葉 2009-05-31 06:58:46
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