橙のころ
ゆうさく

だいだいに
染め上げられた、
自転車に
ぼくの半ズボンが呼応して
街が光っていく

巨大な飛行機雲が
目の前で
クロスを描き、
初夏をあらわす

哀しくて、
吐き出した、
ぼくの温かなため息が
見知らぬ人の
買い物袋を
湿らしてゆく

慌てて
一気飲みした青春は
もう取り戻せないと
知ったのは
こんな日だった

まるく、
いたたまれない、

まるい、
まるい、
夕方だった

あ、
お、も、ひ、
       で
一瞬のよぎり、

ちら、り
  すとん、
想い出の残響

いやらしい、
美しい、
夕暮れの日だった


自由詩 橙のころ Copyright ゆうさく 2009-05-30 21:07:16
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