愛犬
芳賀梨花子

月が話しかけてきそうな夜に君と森に行った
長袖のセーターの編み目から晩秋を感じ
ことさら淋しく侘しく森の音が響く夜
足元で君の足音どんなにか頼もしい
私が迷わなくてもいいように
君は歩く
夜の鳥が飛び立ち
コリン・ロゼットが月を食べる
わずかな物音に君は耳をすませ
私は君の本能に甘える
君の顎は私の骨を砕く
しかし君はそれをしない
君を繋ぐこの紐を
解いたとしても


自由詩 愛犬 Copyright 芳賀梨花子 2009-05-29 15:34:27
notebook Home