葡萄
小川 葉

 
 
どう見ても
人でしかない
葡萄を見ていた

同じ売場で
何度も見てるから
店の人に
怪しまれさえした

名前を知ってる
と思った
葡萄の品種ではなく
たった一つしかない
それの

果たしてそれは
彼なのか
彼女なのか
思い出せないことを
思い出している

どう見ても
葡萄でしかない
同じ蔓につながって
隣にぶら下がっていた
人のことを
 
 


自由詩 葡萄 Copyright 小川 葉 2009-05-23 00:56:40
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