ひかりふる
木立 悟







このからだをすぎるものらの
なんとせわしく弱いことか


流木が凍り
骨の道に沿う


いくら望んでも
いくら願っても
手のひらより大きくなることはない


傷のように咲く花を
片目の奥に並べては
姿なきものに分け与えている


冬は離れ ひかる
遠く離れ ひかる


よしなし ゆえなし
よしなに よしなに


音ひかる笛 散らす笛
見えぬ雪見えず 
降りやまず


人工の灯を包むものが
朝の色に灼けている
どこかへかすかに 照りかえす


子らの目から目へかかる
誰わたるともない光の橋


吊り下げられた
さまざまなものが鳴っている
かたちのままに震えている


花の空を見た
土に触れ 見上げると
消えていた


閉じたまぶたに降る色を
ずっとずっと見つづけている
ひとつがひとつに 重ならずに咲く


光の橋をわたるうた
馳せる子ら馳せ
空の旗ふる
空の旗ふる



















自由詩 ひかりふる Copyright 木立 悟 2009-05-22 11:33:45
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