サンクチュアリ
水穏(みおん)

ふかいみどりのやまのおく
しろい蝶がとんでいました。
あまりにもしろくて、
やまのみどりに映えていました。
わたしは誘われるように
蝶を追いかけました。

わたしは誰かに置いていかれてしまうような
わたしは誰かを置いていってしまうような
このふかいみどりのやまのいただきへ

誰に置いていかれるのか思い出せないまま
誰を置いていくのか思い出せないまま
しろい蝶を追い続けました。

蝶よ蝶よ
どこまでもどこまでもわたしを導いて、
蝶よ蝶よ
どうかやまのみどりに消えてしまわないで。


二〇〇五年八月二十八日 三人合同誌『Mement-Mori』より


自由詩 サンクチュアリ Copyright 水穏(みおん) 2009-05-21 17:15:57
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