おぼれる。
あ。

熱い生成りのロウで封をした
真っ黒の布をかけて見えなくして
夜みたいな部屋に投げ捨てていた
そんな忘れかけていたものが

ふとした、はずみで
なが、れる。

止める事なんて出来るはずもなく
誰にも見せたくないものが
隠しておきたかったものが
古ぼけたヨゴレモノが

せきを、きって
あふ、れる。

つまさきから色が変わる
薄桃色から少しずつ黄土色へ
更に暗く灰色になり濁り始める

見たくないからふたをして
なかったことにして笑ってた
そしたらいつか本当に
なくなってしまうんじゃないかって

そんなの、さっかく
よご、れる。

みんないなくなりますか
わたしはひとりになりますか
そのくらいのほうがいいのですか

思考は勝手に歩き始める
胸の壊れる音が聞こえた
砕けた世界にその身をゆだね

いきが、できない
おぼ、れる。


自由詩 おぼれる。 Copyright あ。 2009-05-19 23:50:18
notebook Home 戻る  過去 未来