鉛筆くん、、。。
ヨルノテガム











    「 創造 」  作  鉛筆くん




   えんぴつが他人のように独り歩き出し始める
   
   冷たい月の上に立ち
   リアルともドラマともつかない死の輪郭をなぞると
   筆先から血が滲み込んで固まった

   一本の線上を風雨が吹きすさみ

   一本の線の上で死者が姿と形を無くす

   しかし一本の線が男と女を繋ぐ糸になり
   
   此処は天上かと思うほど

   宴と明鏡は照らされ入れ替わり交わった

   一本の線の上に友情の地平ができ
   共に茶を飲む景色を眺める

   一本の線の先が耳から脳に達し
   
   「殺す、殺される」
   
   という強迫地獄から
   
   「くすぐる、くすぐられる」
   
   という天国気分を通り越し、
   
   耳アカがどっさり取れたね、と反対の耳から産声は聞こえる
   

   一線を越えて壁の向こう えんぴつの影が消えたとき
   冷たい月の裏側を殺生の花が咲いている
   花を美しいと言い切れずに
   殺しを極悪であると言い切れずに
   えんぴつを真っ二つにした恐ろしい力の加減は
   それでも 余韻と再生への祈り、糸口を
   一本の線上に託すのであった

   夢を殺して 夢を生きる物体が
   憐れにもまた 歩き出したがっていく

   世界は独善的に在ってほしい、また、
   世界は半歩先で、のたうち転がっていてほしい

   われわれは互いに偉大であり
   互いに猥小な埃のようだ







えんぴつくんが寝てるときは「鉛筆くん」に
なっちゃダメってあれほど言ったのに!!! プン プン!

次回、  その頃 えんぴつくんは・・・・・・










   


自由詩 鉛筆くん、、。。 Copyright ヨルノテガム 2009-05-13 04:19:46
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