礼儀と作法
よーかん

讃岐うどん





かけ大盛三百四十円
大根おろし五十円

サービスのネギと
生姜テンカス白ゴマに
七味唐辛子これでもかを
思いっきり音とともに
むさぼる喜びを堪能し

外の喫煙所にて
満月に太い煙を吹き上げて
ご満悦のひと時





そこを
サングラスに短パンの
スポーティーカジュアルな
老人が咳払いしながら
しかめっ面で横切るのです

「今どき煙草なんて」と

道徳観念のない
ボクの未熟に呆れたんでしょうな

気づきもせずに
自分の無礼には

他人の快楽モウメントの
エリア内に無神経にも踏み込む
罪を犯しながら

それがいかに自分の
価値観とヅレていようとも

目をつむる余裕も
デリカシーもない
便秘な精神性に
ドップリ漬かったまんまな表情で

そんな老人の
説教なら態度でしめそうよな
傲慢さに

飲み込まれてはいけないと
気をそらすのです

労働者な中年がかった自分はまた

音もなく
苦笑いすることで

いつものように

ガキの頃から
ずっとそうしてきたように





フと視線を泳がせると

パールホワイトのシーマから
降りたばかりの
トライバルデザインタトゥーに
VネックTシャツのイケ面ニイチャンと
ベルバラカールのオフモードなギャル姉さん

意外なことに
「だよな」な微笑みを

満月に視線をそらし瞳を下ろします

浅い煙で答えるのです
「ありがとう」と

ゆっくりと前を通りすぎる
二人に

リキミを抜いてくれたお礼と
リスペクトを





ガキの頃から
そうしてきたように










自由詩 礼儀と作法 Copyright よーかん 2009-05-10 01:49:01
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