友へのてがみ
あ。

きっとまだ
折り返しにすら着いていないと思う

それでも
人生の半分以上
きみがいた

裁縫の授業が苦手で
いつも居残りしていた
なかなか針が進まないわたしを
いつもこっそり手伝ってくれた
自分でやったところが下手すぎて
結局先生にばれて怒られたけど
本当に助かったし嬉しかったんだ

おんなのこだけの学校で
華やかな恋の話を咲かせ
デートをしていた級友を尻目に
わたしたちは放課後まで教室で
黒板に落書きばかりしていた
夕焼けが細長く入り込み
その居心地のよさに
いつまでも笑っていた

それぞれ別々の大学に進み
毎日会うこともなくなった
それでもたまに顔を合わせれば
あの頃と変わるものは何もなく
大人になって化粧を施し
綺麗になった顔の向こうには
黒ぶち眼鏡をかけて笑うきみがいる
きっとわたしの顔の向こうも
同じように眼鏡をかけた少女なのだろう

初めて行った海外旅行は
きみと一緒だった
たくさんお金をごまかされたり
暑さに負けそうになったりしたけど
二人ともが一番行きたいところだった
お互いに一番気を使わない旅行相手だった
だからすごく楽しい思い出なんだ

どんなことで笑っていたのか
何があって泣いていたのか
いちいち全部覚えてはいないけど
わたしが今まで歩いてきた中に
きみがたくさん刻まれていることは
間違えようもない事実で

きみにずっと言われているけど
わたしは適当でおおざっぱで
ぼんやりと生きているから
また迷惑をかけることがあると思う

ごめんね
先に謝っておくよ
きみもいっぱい迷惑かけてくれたらいいよ

友だち、だからね
これからも、よろしく

誕生日おめでとう


自由詩 友へのてがみ Copyright あ。 2009-05-09 23:08:09
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