さいごのフラッシュバック
灯和

 声、途切れた理由を
 知ることをためらった
 まだ若かった私たちは
 過ちを犯すことに
 慣れていなかった。


 他人の言葉をかたどることも
 容易であるかもしれないけれど
 かつて信じた?真実?は
 他人の言葉で語れない


 冬もさなかの駅の映像
 蛍光灯の光、さながら堕天使
 二人を連れ去ろうと、
 していたのだろうか。
(行き先が終点でよければ)


 夕立の代わりに血を流そう
 傷口からあなたを受け入れよう
 それでも私は、
 あなたを見失わずにいよう。







 …それが夢だったことと
 濡れている頬に気がつく
 思い出すのはこれで最後。
 もうそろそろ
 あの日から三年になる。



 そして今なお
 声、途切れた理由を
 知ることをためらっている。





   了


自由詩 さいごのフラッシュバック Copyright 灯和 2009-05-08 22:45:41
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