遭えない夕
雨を乞う

 

 期待はするな、恥じる眼が行き来する、小さな火傷が少し痛いな。もう二度と会えないような気がしているのは何となくわかっていたのに、古びた喫茶店で呷る珈琲。シロップを探す僕は句読点で三分割、あ、あ、あ!昨日のような晴天が長く続かないように指と指とを組み合わせ、雨を乞うている。武蔵野線から排出された少女らの髪が夕暮れに暴れている。止まない生活への往来を責めることはしたくなかったが、ここまで来て踵を返すのは、野暮だぜ。

 卑しい遊戯には慣れている。互いに孤独という単位を孕んでいれば尚のこと、そんな素振りで似つかわしい夜を待ってしまえばこっちのもの。渋滞に紛れ込んで僕に会わないことに安心しているお前はフロントガラスから世界の真ん中を見たかい?じゃあそれを真理と呼べばいい。やがて至る落日にこの身を捩るくらいなら、今ここでお前の首を絞めて安心したい。ごめんね、だと?もう何も言うな、何もいわないでよ。

 


自由詩 遭えない夕 Copyright 雨を乞う 2009-05-05 10:52:52
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