一面、の
霜天

手、に
繋がれるようにして
あの丘、の存在する、現象の側面に
咲く一面の菜の花の、群衆
触れてはいけない、母の言い付けは破られて
指先は、きりりと痛む

それら、の一面の
膨れ上がる群青
狭い意味の、群れの
濃い青の水のための
一過性の約束
集団、溶かされていくための
雨にあなたたちが、望んでいたような
側面


栞を挟んだ本を手にとって
君たちが街へ属していく
残された私たちは一面に咲く約束に足を浸し
君たちの帰りを待つ
あの丘の菜の花一面の、現象
忘れることができたならば
もうすでに、溶かされている


古い約束
言い付ける母、の側面
奥、の深い所は溶かされて見えな、い
破るため、の言葉ばかりが
一面に、存在する
菜の花


自由詩 一面、の Copyright 霜天 2009-05-03 15:29:11
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