ノアの箱舟
衿野果歩

みっしりと命を詰めた白い箱
マッチの箱のような病院


その腕に繋がれた管 カラフルな
命の綱か
あるいは枷か


真っ白なシーツの上で
しぼんでく 風船のようだったおなか


痛いよ と
滲む貴女の目に映る
桜の散って  そして 芽吹いて


消えてゆく隣りでともる命の灯
幾年を経て ノアの箱舟


短歌 ノアの箱舟 Copyright 衿野果歩 2009-05-02 20:35:56
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