その辺に
広がっていたはずの思い出が
重機でもって払いのけられ
作られたきれいなものを
背伸びするクレーンが
積み上げている
くりかえし
くりかえし
さびしかったり
悲しかったりしたことが
見えないものを
とても大事なものを
あなたに与えたのでしょう
けれど
こんなふうに過去の方ばかり
見ている僕と重ならない
未来とあなたと　と
記憶の中の
それはそれはいいとこだけを
貼り合わせて作り上げたのに
風景とあなたと僕がひとつに
融合することはない