死の街
atsuchan69

涼しげなアルゲ・バムの遺跡も
――今は、もうない。
たとえビールや焼酎を十杯飲んだって
大酒豪のこの俺だったら、
酔っぱらったりはしないのだけれども
渇いた唇が泥の水を啜り、
若者は全裸になって叫んだのだ

たかがそのくらい、が、
一度たりとも許されない街だった
ふり向くと逃げ道は、ちゃんと塞がれていた
既に街じゅう、ゴミ箱が見あたらない

捨てるべき何かが心に溜められる
どの家も、その何かで一杯だ
でも部屋の中なら許されたから
そっと人目に触れず、
人々は怒りや欲望、その他もろもろを
ぜんぶ畳の下に潰して隠した

うーい、ここは何処なんだ?
たぶん砂漠の廃墟かナンカだろ
とても人の住めるような場所じゃねえぞ
畳の下で騒ぐ日本人の心がよう
プファーッ、早くトランクスを脱いで
おまわりさんみたいなアレのナニをですね
こーして、ちょっと見せてくだちゃいネ
――って、言ってんだよ。おう、コラ。 






自由詩 死の街 Copyright atsuchan69 2009-04-26 22:58:09
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