出口も入口もないところにいる
木屋 亞万

世界を爆破しようと言って
銃火器を想像したならあなたは私の敵です
世界は勝手に爆発していると
目を閉じて微笑んでいるあなたなら
私の同士であると思います
どうぞこれからも一匹狼として
殻の中から吠え続けていきましょう

詩というものは言の寺と書きますので
寺に向かうと言う時点で
詩人はきっと出家しているのでしょう
詩というものを書き始めたその日から
私はとうに詩んでいる存在
それはここでないどこかへの旅であり
自分でない自分になる試みなのです

日常に花を添えようと言って
一輪挿しにカーネーションを飾るなら
あなたはもう少し俗世で頑張ってください
言葉だけを信じ、想像しか拠りどころがないならば
私と一緒に目を閉じて、言葉の海に溺れればいいのです
その想起の中に、何もかもがあります
それはあなたの経験の一部始終であり、
誰かの一生のかすかな残り香なのです
目を開けば日常に、花の散った気配だけを感じるはずです

世界は今日も爆発しています
ビルもバスもビールも猫も歩道橋も焼きそばもポップコーンも
バットもミサイルもアスファルトもゴダールもエミールもカモミールも
夕日は燃えています、月は狙っています
爆破の火の粉は、明るく燃えて、
飛び散る水滴は、ペンキのように色づいて
街を明るく染めていきます

さよなら、夜なら、小夜更けてまた
あなたに私が愛を告げなかったのは、
私が詩の世界に閉じこもっていたからです
ここでないどこか、詩の世界にいるあなたと、目を開けばいるあなたが
争いあうのが嫌だったのです
だけど、どうにも心残りで
後悔していることを公開するほど
それでも殻から出ない癖に、愛を請うのです

世界を爆破しよう
目を閉じて、あなたとの接吻を夢見よう
それはもう一生、夢のままです
私はもう詩んでいるのですから




そんな詩ばかりを生み出して
これ以上の進歩は見込めそうにありません



自由詩 出口も入口もないところにいる Copyright 木屋 亞万 2009-04-26 02:13:02
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