天気雨
北村 守通

踏み外した大地に
交差する
踏み外した大地に
降り注ぐ


交差する
ちっぽけな
億万兆
降り注ぐ
ちっぽけな
億万兆


垂直に立っているはずだった
水平に見渡すはずだった
私の場所は
何処だった

深い
深い
空の底
巨大すぎる
深海生物達の群れ
浮かび上がるは
脂汗

  体温が下がる

深い
深い
空の底
墜ちてしまえば
もう
二度と
大地に浮上することはできそうもない
恐怖のあまり
踏み外した大地に
しがみつく
振り回されて
慣性力に
耐え切れず
爪がすべる
引っかからない
大地の肌が
凄い力だ
跳ね上げる

踏み外した大地の
内部機関の作動音が
激しくなっている
踏み外した大地が
のたうちまわる
踏み外した大地に
しっかと
寄生している
単子葉植物の一株に
しがみつく
オサムシが抗議にやってくる
脂汗にとまどっている

  
  弾き飛ばされる
  きりもみ回転
  ビルが廻る
  噴水が戻ってくる
  隊列忘れて
  戻ってくる
  水晶が
  押し戻される
  

  大地の
  内部機関の運動が止まる


垂直に眠るはずだった
水平に経つはずだった
私の
帰る場所は
何処だった
私の
往くべき場所は
何処だった
私は
空に墜ちるべきだった
踏み外した大地には
戻れない
踏み外した一日は
戻せない 


自由詩 天気雨 Copyright 北村 守通 2009-04-24 03:34:32
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