海中時計
あおば


             090423


懐中時計をポケットにしまう
ジーパンのポケットにしまう
海の中には
海坊主がいて
溺れた人を
丸呑みにするのだと
笑いながら時計を見てから
昼飯の合図をする班長
今日は午後から場所を変えるのだから
少し早めだが
飯にして
仕上げはゆっくりした気持ちで行うと
皆に説明したが
誰も聞いてはいない
食い終わってから
説明すれば良かったのにと
時計は呟くのだが
海の中なので
大きな声に成らず
か細い泡が弾けるような声となり
さざ波に消されてしまった
舟が出るぞと
船頭の太い声がして
大勢の若者たちがこちらを振り向いた


自由詩 海中時計 Copyright あおば 2009-04-23 00:56:27
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