日曜日の台所
草野春心



  日曜日の
  台所
  きみは皿を洗う
  その手はぼくから見えない
  春の水はきっと
  未だつめたいだろう



  形のないものは
  流れる
  痛いほどの感情も
  重ねた温みも
  やさしさも



  時折
  ぼくに
  後ろを向かせるものがある
  それは残酷なほどの
  弱さだ
  妬みだ
  甘えだ



  一人だということ
  時は進むということ
  生きれば死ぬということ
  ……あふれるほどの当たり前を愛する
  責任がぼくにはある



  きみは皿を洗う
  その背に
  誇りさえ負って
  春の水はきっと
  未だつめたいだろう



自由詩 日曜日の台所 Copyright 草野春心 2009-04-19 21:31:49
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春心恋歌