陽光
アヅサ

おはなの香りは麻薬のようです


やっと離陸した春たちは
いっせいにビルから飛び降りて
女の子たちの透明な鱗に
好んで住まうらしい
ちょうちょが飛んでいくのを見て
銃に撃たれてしまわないよう
それだけ僕は願った
それだけ


日々と日々の間で
僕たちはキスをしたり抱き合ったり
かわいいとかかっこいいとか
花びらを指先に纏って
笑いながらしゃべりながら
どこまでもゆけるのです
どこまでも


まつげが風になびくその一瞬に
透明な鱗が桃色にかわる
それで世界が変わるわけではないけど
少なくとも僕はうれしい
もっともっとキスをしたい
どうでもいい日々を 大事にしたい




自由詩 陽光 Copyright アヅサ 2009-04-19 20:52:10
notebook Home 戻る