ももあらい侍
唐草フウ
春の川のほとりには
ようかいももあらい侍が
やさしい男が
ひとり
きせつを憂いていました
そこでは
なにもしらないだけの
赤ちゃんももばかり
むじゃきに
きゅっきゅとながれて
ゆきます
オレはここで
ももをながめては
ぴかぴかにみがくんだ
ももあらい侍は
すこし職人気質な
ところがチラリありました
(ぜったいに かぶりついたり きずつけてはならない)
(それは、せいちょうの約束)
ぞくぞくとももは
春をよろこびながら
夏のみずみずしい川まで育ちながら
流されてゆきます
ももあらい侍はどこか
ほこらしげに
春の川の淵にすわり
それらを眺めては
なんとなくため息をつきます
職人気質の手は
いつしか甘い匂いに
包まれていました