春の湿度
ブライアン

久々に雨が降った翌日、
目が覚めると、南向きの窓から光が差していた。
昨日の天気予報では、今日も雨が降るんじゃなかっただろうか、と
思いながら窓の外をぼんやりと見ていた。
窓の外は、いつもより濃い色をしているようだった。
雨が降るはずだった分の、湿気のせいなのだろう、と
根拠のない事を思いながら、リヴィングに顔を向けた。

リヴィングには、仕事へ向かう準備をしている犬がいた。
慌しそうだった。
眠りから覚めない体で、リビングへ向かおうとする。
犬を仕事へ送り出してやるためだ。けど、眠気には勝てない。
玄関の扉を開いて、外に出て行く犬の姿を、リビングの床に横になって見つめていた。
気をつけるんだよ、とだけ声をかける。

バタンという扉の閉まる音が聞こえた。

携帯電話のアラームが、リヴィングの床に振動を伝える。
目が覚める。仕事へ向かわなければならない。
目を擦りながら、TVの電源を入れると、青空を背景に、いかにも
男性が好みそうな、かわいらしい女性キャスターが今日の天気を伝えていた。

全国的に今日は快晴です、と。

昨日、明日は雨になるでしょう、と言ったのは彼女じゃなかっただろうか。
窓の外を見る。やっぱりだ。
いつもより濃い色をした景色が、窓の外には広がっていた。


自由詩 春の湿度 Copyright ブライアン 2009-04-17 00:44:49
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