帰り道
あおば


               090412


後継者不足で廃止される事業
後継者はいるけれど
儲からないから採算が取れないから
廃止しなければならない事業
儲かることはなにか考えている社長さんはいつも憂鬱な顔をしている
従業員は自分の役目ではないし
口出すと怒られたり
不興を買うのを知っているので
いいアイディアが浮かんでも
黙っている
そのうちに会社は赤字が積もり
不渡り手形を出して
倒産することになる
それまで
勤務していられればよいと思う人は
今日のことを考えていればよいのでのんきだ
社長さんはいつ会社を閉めるかその機会を考え出したようだが
その前に胃潰瘍で入院して
やる気を無くし
一切を後継者である息子に譲り
引退した
従業員である私は少し慌てるのだが
後継者の若社長に期待するつもりで
のんきに過ごすことにしている
倒産するか
解散するか
どちらも若社長の思うままなので
従業員である私は考えることを止めた
気の利いた佃煮を買って
帰り道を急ぐ毎日だ


自由詩 帰り道 Copyright あおば 2009-04-12 18:20:37
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