偽善
悠惠


自分のいちばん柔らかい一部を 握り締めたその手に預けたかのように
切切と思い

逸らした視線と隔壁とを以って 遥か遠くに突き放すように
対岸の火事と決め込む

ある時は文字通り「傍」に
またある時は黙視の「傍」観者

同じ「そば」でもいちばん大切な柔らかい部分を見失う

冷温の激しさに 柔和なこころは酷く脆弱で
それはついに「偽善」へと砕ける



自由詩 偽善 Copyright 悠惠 2009-04-11 18:08:46
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