ネコウチク
ねなぎ

青々とした
ススキが
手を触れれば
切れそうなくらい

猫を拾ったので
埋めた

分解者が
いくら細かくしようとも
ある一定のレベル以上は
分つことなど
不可能なように
全ては
意味などではない

学校からの帰り道
肉マンとか食べてた時

柔らかく
ぐにゃりとして
滑らかで
汚れがこびり付いた
毛先

見てしまったからには
素通り出来ず
立ち止まった

RかDかの違いまで行くと
定義する事自体が
難しくなり
ぼんやりとして
あやふやで
曖昧模糊とした
近しく
遠くなる

草むらに
穴を掘って
その上から
土を掛けた

気になって
学校の行き帰りに
眺めながら
歩いた

僕の埋め方が
悪かったのか
雨の日に
猫は顔を出した

リンや窒素の固定
合わさり
再構築し
組み立てられるように
分解と確定
繰り返すように
収束と発散は
回っている
どの視点で
観測するかにより
流れの周期は
異なるとしても

猫の耳の中も
尖っているのかと
思ったが
横で友達が
変な声を
上げているので
口には出さなかった

だらだらと流れ出した
中身
うるさい車の音も
避けて行く

ススキの穂が
飛び撒かれるように
かさかさとして
服に付く

微小と有限の間に
関係性が確率で
あるとするならば
それを別つものの
揺らぎと
歪みにあるのは
唯の現象でしかない

見開かれた右目
拉げた左目
口元が開かれ
べっとりと付いていた
手がぬるぬるとしたが
滑らないように
首根を掴み
道路から引き剥がすと
何かが散った

拾った猫を
土の中に埋めた


自由詩 ネコウチク Copyright ねなぎ 2004-08-25 20:58:23
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