肖像画
あ。

この絵に
足りないものがあるとしたら

瞳の奥に色を使うのを忘れ
きっとぼくは
二次元のような顔をしていたと思う

もしもこの中から
たったひとつ選べるのなら
今のぼくならきっと迷わず
きみのゆびさきを手に取っただろう

きみとぼくの好きな色を乗せて
瞳に色を下さい
そしてそのときだけでも
ぼくを見つめてください

情けなく懇願しながら
それでもただ
見ていられるのなら
ぼくは全てを
投げ出したっていいんだ

きみの好きな色をいっぱい使って
ぼくは出来上がる
この上ない幸福がやまなく降り注ぎ
美しい肖像画が出来上がる



自由詩 肖像画 Copyright あ。 2009-04-06 12:27:51
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