カワリニ

明日いなくなる

そんな夜の中に

もしも
あとひとつ願いをかけられるなら


もう人間にはなりたくない


そう言ってみたい


できれば背骨のないものがいい

命の配列などとは無関係のものがいい

なにも食べなくていいものに
なにも聞かなくてすむものに
なにも言わなくていいものに

競争しなくても
生きることを赦されるものに

木や花も命だというのなら
そこらへんに溢れる音でもいい

限りなく無機質なものになって

ごちゃごちゃした世界を愛してみたい



これはただの夢


食べるだろう

聞くだろう
見るだろうし言うだろう

傷つくよりも傷つけるほうが多いだろう


誰よりも生きたいと叫びながら

小さく日々を暮らすだろう


有機質を通り越して
もはやこれはただの心臓


多くのものを得る

そうやって生きる



その、かわりに



失くしたものを

忘れてしまわないように





自由詩 カワリニ Copyright  2009-04-04 23:00:37
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