円玉
aidanico
きみのなまえをしらない
しかし柱を折る方法を知っている
きみのなまえをしらない
しかし一杯分の奢りかたはしっている
きみのなまえをしらない
いたちごっこの後を片付ける
きみのなまえをしらない
だって(ほんとうは)、いらない
多摩川を越えればもう冬
凍った泥水はつめたくて
市ヶ谷に赴けばもう春
雪解けのつちは泥濘で
平和とか希望とかいつだって世界の好みはきまってる
きみのなまえをしらない
買えば良い煙草の種類はしっている
きみのなまえをしらない
小銭を募金箱にいれる
きみのなまえをしらない
ひみつの日記を開けている
きみのなまえをしらない
名のりかたさえしらない
新宿で出会えばまた朝
気付けば路傍にひとりでたっていて
池袋のテアトルでレイトショー
仄暗い真昼の図書館
狭間をうまいこと渡りに船を出せにげきるなんてわけないさ
躊 躇わずにわたせよ
あ あ、いまかぜがきれるよ
(深 さを測るのだ
(硬 貨がしずむおとをききながら、
ま あるい/の は あ なが あ るから さ、!
あ るい/ は あな た が わるい の さ、!
あ たま は/ も と も と かたい のさ、!