SAMURAI
サバオ*





あの人が死んだ。

僕の彼女に言い寄っていた
ドレッド頭の やたらかっこ良かった あの人

病気で アパートで 孤独死で

訃報を聞いた僕と彼女は「死に様」を想い
怖くて 震えた

すすり泣く彼女の肩を抱く 手が震えているのを
アイツが じっと見ていたんだ。



その時 僕は暴かれた

優しくするより 優しくされてみたかったので
僕たちは 初めての接吻を交わした

睦言に溺れて 途方に暮れて 救われた



少しだけ心配な彼女を訪ねた
試したい気持ち半分

柔らかな彼女に包まれながら
足りない と思う

堕ちたダメージは 欲求のイメージを明確にする

本当に欲しいのは
守りたい誰かではなく 守ってくれる人だったんだ



凛として 流し目で生きてくのが理想だった

けれども 寂しがりの僕は
厭な事は見なくていいと
眼を そっとふさいでくれる
優しい手を取るね

君を捨てるよ さよならする
幸せになるね。



気高く 孤独だった あの人の 逝き先に
酒と 音楽と 煙草が あればいいと思う

そこで幸せならばいいと思う。

どうしようもない 僕たちを肴に
面白がってくれればいいと思う。



そう願うことが
僕なりの餞なんだ。




自由詩 SAMURAI Copyright サバオ* 2009-03-29 20:33:35
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