「 不良少年、例えばおれが右翼だった頃。 」
PULL.







 今まで書こう書こうと思いつつ、一向に書けない「日記(エッセイ?)」のひとつに、「 不良少年、例えばおれが右翼だった頃。 」という身も蓋もない題名のものがある。


 今から二十年とちょっと前になる。その頃のおれは精神的にも肉体的にもあまりに未熟で、不安定だった。何もかもが死にたいぐらい嫌で汚くて、世界中のあらゆるものすべてが、敵に見え、息をするごとにその空気をおれが吸う前に吸って汚した誰かを、恨んでいるような奴だった。
 毎日死ぬことを考え、毎日誰かを殺すことを考え、毎日毎晩誰かに殺される夢を、見ていた。力が欲しかった。誰にも馬鹿にされない、誰にも負けない、自分以外には、誰からも殺されない、絶対的で神秘的な力が、おれは欲しかった。
 そんな時にはまったのが、オカルトであり、その延長線としての民族主義、右翼だった。


 ここから先が、どうしても書けないでいる。

 書かなくてもいいのかもしれない。
 書かなくても今、おれがこうして生きているだけで、この先に書くべきことはすべて、言い尽くしているのかもしれない。












           了。



散文(批評随筆小説等) 「 不良少年、例えばおれが右翼だった頃。 」 Copyright PULL. 2009-03-28 10:21:50
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