君の部屋
船田 仰

傘をささずに帰ってきたら
ぽつりぽつり、と、前髪の報復
それがしょっぱい涙じゃないこと
かなしいのかしらね

おまえは3よりも4だよな、と君は言います
もしかしたら心配、なのかもしれなくって
黙って座布団を抱いているわたしは
12か21がいいなあとおもう
まぎれていられるじゃない
君のことばは
正しすぎて涙もでない
つまりさみしいってことなのに
君はどんな言葉を彫っているのだろう
分からない、しか、浮かばない部屋に
うすぐらく日常に生きるものたちが沈んでいる
透明な窓を見ていた
君の青いTシャツのすそが
足にあたるのを見ていた
ありがとう
言っても言っても
誰かがその奥を見てしまうんだねえ

もうすぐ明日が今日になるころ
通り過ぎるサラリーマンの視線が
わたしを追っていなくても
君の言葉に追いかけられるわたしは
どうすればいいのかわからない
それしか浮かんだり沈んだりしなくて
我が友よ
君を
空白に引きずり込んだりした
今日のことを
昨日にしてしまいます
ごめんね
ごめんね
届かない声とちっちゃな腕を
振れないまま
わたし
君の部屋からかえれていないんだ
空気におぼれてしまって
ああ
どうしようもないよ
愛する友へ
今日は雨だったから
君のTシャツが、
深すぎたから



自由詩 君の部屋 Copyright 船田 仰 2004-08-23 23:20:57
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