アウシュビッツ
山崎 風雅



 目の前には
 いつ処刑されるかわからない毒ガス室がある

  
 監視の目はいつも光っている

 体は彼等の思いのまま

 されど

 されど

 されど

 
 精神は

 心は

 魂までは

 彼等の思いのままにはならない



 処刑される部屋に連れていかれても

 最後の最後まで
 私達は笑っていた

  
 自由に ありのままに操れる心は
 環境に負けることを知らない


 人間にだけ与えられた
 最高無二の至宝だと言うことを
 想像さえ出来ない
 暴君たちを
 哀れんでいることに気づく様子はまったくなかった

 
 哀れな境涯よ


 人間をなめるな






自由詩 アウシュビッツ Copyright 山崎 風雅 2009-03-27 00:55:27
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