ぼくの帰り道
ゆうと



なんで、
どうして、

帰り道だけは
おぼえているんだろう。


時々、不思議に思うんだ。



通い慣れているから、
忘れるはずないって
当たり前だとわかっているけど、

でもなんか
不思議で、
たまらなくなる時がある。



方向音痴のぼくなのに
なんでか、
どうしてか、
帰り道だけはおぼえていて

いつの間にか、家につくんだ。
迷いもなく、足は進むんだ。



逃げ出しても、
家出をしても、
帰り道だけは忘れない。

帰れなくなるのがこわいから、
迷いそうなところには行かない。
そういうのもあるけど、


でもさ、
なんでさ、
ぼくには帰れる場所があるの?
どうして、
ぼくには家があるの?



時々、不思議に思うんだ。

そして、たまらなく
たいせつに、思うんだ。


心の中に、ぽっとあかりが灯って
たまに、泣きそうになるよ。




雨に打たれても、
太陽がまぶしくても、
青くない空の下でも、

ぼくは帰り道を歩く。
ぼくは帰り道を走る。
ぼくは帰り道を知っている。
ぼくは帰り道を忘れない。





散文(批評随筆小説等) ぼくの帰り道 Copyright ゆうと 2009-03-26 04:24:58
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