11年前
ヤオハチ

高校生だったころ。
なんでそう思ったかは分からないけれど、
適度な苦痛と適度な快楽、適度な努力感と適度な達成感を与えられて
しまったらとおびえていた。
世界に騙まされて、本当のことには気付けないかもしれないから、
あたしは救いようのないバカで心底よかったのだと思ったのだ。

いつも一緒に居た子達は、一人は肉体がなくなって魂だけで
生きれたらいいのにって言ってて、一人はいくら食べても太らない
体を欲しがっていた。
私は、この子達の願いが叶ったらいいのにって思っていた。
ちょっとだけ、手に負えなかったのだろう。

だから、自分の血は冷たいのだと思っていた。
神様の罰をとても固く信じていた。

夏休みの課題で かぶとむし という詩を書いた。

かぶとむし

自分の笑い声がうるさすぎて
セミの鳴き声が聞こえなかった
スイカも全部食べてしまった
かぶとむしのこと忘れてた
ひとりじめの夏


そして 自分が 小さな溝に住む小さな魚だったら?
と思ったりしたのだ。

あれから随分と、本当のこととやらを知ったのか、
いまでは、上手く騙してくれそうな人にひょこひょこついて行ったり
する。
ともだちもいっぱいできたけど、神様など倍増どころではないのだから
当然の話なのかもしれない。


散文(批評随筆小説等) 11年前 Copyright ヤオハチ 2009-03-25 21:47:32
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