君へ
三之森寛容

君は路上の空き缶みたい
行く先を決めず
カラカラ 音を発て
蹴られたり 轢かれたり
潰されたり


ジッとしてると思ったら
何時止むやも知れぬ
突風に流され
カラ カラ コロン
カラ カラ コロン
喜び唱う


気付けば其処は
みちを外れた獣道
脇には鬱蒼とした小さな森
転がる事を止めた
けがれた仲間の
小さな森
カタカタ 笑いながら君をいざな


止んだばかりの突風が
小さな森へと吹きつける
君は負けじと
転がり創める
ガラガラ ガラガラ
懸命に
ガラガラ ガラガラ


君は獣道を抜けて
懐かしいみち
其処ではやっぱり
蹴られたり 轢かれたり
潰されたり
でもきっと
みていてくれる
みつけてくれる
手を差し伸べてくれる


カラン カラン

カラン…

晴れやかな顔触れが
君を出迎える…


自由詩 君へ Copyright 三之森寛容 2009-03-25 00:59:54
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