孤影(二十)
信天翁

      薄気味わるいすなおさで
 日中のきたかぜがご機嫌をなおした
築山の庭樹はようやくねむりについた
   ただ秒針だけが働き続けている
  ふるぼけたメトロノームのように

      突然 すすり泣くように
生き延びた蚊が耳元へすり寄ってきた
        そんな重たい夜更け
 わたしはいつのまにか羽織っていた
   黒びかりした四次元のどてらを


自由詩 孤影(二十) Copyright 信天翁 2009-03-18 08:57:11
notebook Home 戻る  過去 未来