黒潮鉄道
伊月りさ

繋がって
また
諦めた
歯がゆさで
ワンマン電車が走っていく

わたしの
肯定を知りたい

たくさんの競争心を
おぼえたふりをしていたらしい
甘やかされている時間にはふと
だれかを助けたくなる

  捨てた/捨てられた
  桂浜の石ころが本当にきれいでした
  きっとくだけてうまれた
  わたしの/わたしたちの色が波に洗われて鮮やかになる
  むき出しで塩辛いまるみ
  いくつかをあなたに持ち帰る

裁断する走行
きみたちが肯定されていくので
快活さだけが切り離されて
山の斜面に貼りついて

わたしが南下している
眠くなるような鈍行が
わたしが浮かんでしまいそうなほど
さようならの快感を教えてくれる
だれかを助けたくさせる

  小さなトンネル抜ける轟音に似た
  波打ちの音

南下する音に
荒波に
のみこまれていく小石ひとつの
なめらかな瞬間だけでいい
肯定を知りたい
わたしは
それでも潮の写真を撮るのだから
戻る気でいる
繋がりたいと思っている
繋がりたいと
また

見ないように
見られないように
加速して
汗も
塩辛い
わたしが行ってしまった


自由詩 黒潮鉄道 Copyright 伊月りさ 2009-03-09 16:33:45
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旅と鉄道(仮)