三寒四温
nonya


たとえば今日
寒い風に吹き晒されているとして
さらに明日は
寒い雨に凍えているかもしれない
それでも破れ傘を差して
ボトボト歩いていくだけだ

たとえば今日
温かい陽射しに抱きしめられているとして
さらに明日は
温かい言葉を手渡されるかもしれない
それでも浮かれ過ぎずに
タンタン歩いていくだけだ

僕がどんなに信じようとしなくても
人は厚手のコートを脱ぐだろうし
桜は空の裾を淡く彩るだろう

寒い季節をいくつ越えてきたか
自慢げに短い指を折っても
それで寒がりが直るわけじゃないから

温かい季節の記憶をバスタブに溜めて
首までとっぷり浸かっていたほうが
よっぽどマシなのかもしれない

たぶんなるようになるのだろうし
たぶんなるようにしかならないのだから

たとえ突然後ろから突き飛ばされて
石ころみたいに舗道に転がったとしても
温かい欠片をたったひとつだけ
握り締めていればいいや



自由詩 三寒四温 Copyright nonya 2009-03-05 19:33:37
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