失ったもの
琥霙ふうり

 
ぐらんぐら、らん
昔作り上げた願望は
粗大ゴミとなった
 
焼却炉へ
おもむろに葬られ
弔いも、なく
ぱ、ら、ぱら、
黒煙と化していく
 
空へ立ち上りながら
昭和を醸し出す
あの、
夕焼け空は息を潜め
 
 
懐かしむ
取り壊された廃墟から
焦げ付いたスケッチブック
 
俺が
日記代わりにしてた
ものだと気付くのに
一月も掛かってしまった
 
 
ほら、
この手は萎びてく
どうしようもなく
どうする訳でも、なく
 
 
 泣いている、
 
 
ただ、それだけの事
 
 
今日も、また
つまらぬ理由で
ゴミを捨てにいく。
 
 


自由詩 失ったもの Copyright 琥霙ふうり 2009-03-03 08:01:55
notebook Home