悪意
吉岡ペペロ
世の中には
悪意というものが
確実に存在する
土曜日の夜
あらためて思った
わたしは白黒つけたがる
言いにくいことを言ってゆくのが
大人のビジネスだと信じている
今の50代60代は
玉虫色が大好きな卑怯者ばかりだ
わたしたちが片付けるべきことを
あとの者たちに残してはならない
そう信じてやってきた
だからひともついてきた
でも土曜日
久しぶりに悪意と出会った
悪意はじぶんじしんであるような
そんな気がした
それはじぶんじしんへの裏切りだった
玉虫色も白黒も
わたしには極端なことのように
そう思えたのだ
それはたとえばあの女のことだ
あの女にとって
あの女を大切にする者たちにとって
わたしは悪意そのものにちがいなかった
そして別れかたは
玉虫色そのものにちがいなかった