悪意
吉岡ペペロ

世の中には

悪意というものが

確実に存在する

土曜日の夜

あらためて思った

わたしは白黒つけたがる

言いにくいことを言ってゆくのが

大人のビジネスだと信じている

今の50代60代は

玉虫色が大好きな卑怯者ばかりだ

わたしたちが片付けるべきことを

あとの者たちに残してはならない

そう信じてやってきた

だからひともついてきた

でも土曜日

久しぶりに悪意と出会った

悪意はじぶんじしんであるような

そんな気がした

それはじぶんじしんへの裏切りだった

玉虫色も白黒も

わたしには極端なことのように

そう思えたのだ

それはたとえばあの女のことだ

あの女にとって

あの女を大切にする者たちにとって

わたしは悪意そのものにちがいなかった

そして別れかたは

玉虫色そのものにちがいなかった


自由詩 悪意 Copyright 吉岡ペペロ 2009-03-02 22:25:54
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