彼女
恭二

市場で、買った。
身長150センチ、肌は柔らかい。

いつも可愛く笑ってくれて、
決して不機嫌な顔はしない。
そんな彼女が、大好きだった。
一目惚れも、しょうがない。

いろんなことを、彼女にした。

頼む必要も、謝る必要もない。
だって彼女は、僕の恋人なのだから。

毎日二人で、たくさん楽しんだ。

でも、今日。
部屋に帰ると、彼女は寝ていた。
朝は、座っていた筈なのに。

僕は、問い詰めた。
どうして、勝手に寝そべるのか。
なぜ、僕の帰りを起きて待てないのか。

人を小馬鹿にしたような、薄ら笑い。
返事もしない。

蹴った。
何度も、何度も、力任せに蹴った。

壁にぶつかった彼女の手首は折れて、
ニッケル合金の骨が見えた。

僕は、彼女の姿に幻滅して、
粗大ゴミのシールを貼った。

部屋に残った塩化ビニールの匂いが、
うざい。



自由詩 彼女 Copyright 恭二 2009-02-27 23:29:33
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