「 複眼に映るきみ。 」
PULL.







こんなにみにくい幼蟲見たことないそう言ったのはきみなのに。


ひとりだけサナギになった兄さんがどうしても許せなかったぼく。

巣を捨てて出て行ったあのひとは二ヶ月後蝶になって飛んでいた。


「触角を触られるのは嫌い?。」きみはそう言ってぼくを蟲にした。

みにくい午後には雨が降りぼくの口からはきみを溶かす液が出る。


複眼に映るきみにひとりひとりウインクして蟲になった午後。












           了。



短歌 「 複眼に映るきみ。 」 Copyright PULL. 2009-02-26 07:27:59
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